多作は才能だ

 

作家の収支とアフィリエイター

ビジネスライクな小説家「森博嗣」のマーケティングセンス

『作家の収支』(森博嗣)という興味深い本をさきほどKindleで読み終えました。仕事帰りにiPhoneで購入し、Kindleで一気読みしてしまいました。

作家の収支

『作家の収支』 (幻冬舎新書) Kindle 価格: ¥ 594

『すべてがFになる』や『スカイ・クロラ』などのベストセラー小説を執筆した森博嗣氏が、自身の作家としての”稼ぎ”を赤裸々に書き記したノンフィクションです。

彼が手にした印税額は19年間で実に12億7000万円とのことです。平均すると毎年6600万円のペースで印税を得ていることになります。しかも今も毎年数千万円単位で入ってきています。すごい金額ですね。ちなみにこの金額は「印刷書籍」のみの印税であり、電子書籍やテレビドラマ・映画の原作料などは含まれていません。

森博嗣さんの小説に対する取り組み姿勢は非常にビジネスライクであり、自ら「金儲けのために小説を書いている」と述べているくらいです。大学講師だった森博嗣さんは「趣味に使うためのお金が欲しい」と思い、おもむろに小説を書き始めました。(小説が書きたい!)という想いは全く無かったようです。ただ単に仕事の空き時間でできるサイドビジネスという感覚で小説を書いているそうです。

ヒット作を出した後も、自らが書きたい小説を書くのではなく、市場にウケる小説、つまり「売れ筋小説」を書くというスタイルを貫いています。いかに売れる小説を書くか?ということに注力した結果、次々とヒット作を世に送り出してきました。出す本が全てヒットし、連続テレビドラマ化、映画化、パチンコ台にまで採用されるほどです。編集者もさることながら、森博嗣さんのマーケティングセンスが相当優れていたのではないかと思います。

多作というスタイル

森博嗣さんがこれほどの印税収入を得ている最大の理由の1つは、短期間に非常に多くの書籍を執筆していることだといえます。わずか19年間で執筆・出版した書籍は実に285冊です。1996年に作家デビューしてから年平均で15冊のペースで書籍を刊行しているのです。作家の中では相当な多作スタイルです。この圧倒的な刊行数が森博嗣さんの印税を支えているわけですね。

驚くべきは、森博嗣さんのタイピング速度です。1時間あたりに換算すると6000文字を出力するというハイスピードです。

僕は、Keyboardを叩いて文章を書く。1時間あたりに換算すると6000文字を出力できる。これはKeyboardを打つ(僕の)指の運動能力の限界であって、僕はこれ以上早く打てない。小説の執筆は、僕の場合、頭のなかの映像を見て、それを文章に写す作業である。その映像はほとんどリアルタイムで進行するから、ゆっくりと書き留めていては間に合わない。したがって、この数字よりも遅く打つことができないのである。

1時間に6000文字=10分間で1000文字=1分間で100文字というスピードです。適当に文字を打つだけでも大変なのに、創作活動をしつつ1分間で100文字を打っているのです。この超人的なタイピングスピードが多作のベースであることは間違いありません。多作も才能の一つですね。

アフィリエイターも”多作”を意識してみる?

『作家の収支』の後半には、作家の支出に関する記載があります。作家とはほとんど経費がかからない仕事であることがわかります。事務所などの固定費も発生せず、人件費もかかりません。せいぜい資料代や取材旅行程度です。

森博嗣さんクラスの大作家ともなると、印税がそのまま利益となります。1億円の印税収入があれば、その50%の5000万円が税金として消えていくそうです。一方のアフィリエイターも、個人で実践している限りにおいては、ほとんど経費がかかりません。私自身も毎月発生している経費は、

サーバー代  2,160円
ドメイン代  2,300円(年間のドメイン代を月割した数字)
有料素材代  15,000円
___________________________
合計   約 20,000円/月

せいぜい毎月2万円程度です。アフィリエイト報酬の大半がそのまま利益となってしまいます。小説家同様、交際費も固定費も減価償却費も発生しないシンプルなビジネスです。

『作家の収支』を読んでいると、アフィリエイターとの共通項が多く見受けられます。そしてアフィリエイトビジネスを成功に導くヒントも拾うことができます。森博嗣さんのように、自分が書きたいモノを書く(ある意味自己満足です)よりは、世間ウケする(つまり市場にマッチした)小説を意識して書くというスタイルは、アフィリエイトサイト作成と似ています。

そして森博嗣さんの多作という点も、ヒントになります。彼の書籍は実は1冊もミリオンセラーになっていません。しかしながら19年間で285冊もの書籍を刊行しているため、相乗効果もあり積もり積もって12億円もの印税を手にすることができているのです。

私たちアフィリエイターも、1つのサイトで爆発的な報酬を手にするよりも、休むことなく中規模のサイトを市場に投下し続け、年月をかけてネット上のキャッシュポイントを増やしていくことが戦略として求められるのではないでしょうか。1つ1つのサイトの売上規模は小さくても、それらが積み上がることで年間を通じて大きな報酬額にすることが可能なビジネスです。

そして、そのためには毎日、少しづつでも記事を書き続ける、サイトを作り続けるという気構えが必要だと感じます。先日の記事で触れた、きんどるどうでしょうの作者が、いみじくもいっていました。

息をするように更新しましょう。更新こそが人生です。

さらに、以前書評でも取り上げたわかったブログを運営しているかん吉さんの言葉を思い出します。

週一更新と、毎日更新では7倍スピードが違います。7年かかることを、1年でまわせるのです。努力すれば、自力でタイムマシンを動かすことができます。皆さんに悠長に構えていられる余裕はないはずです。ぜひとも毎日更新を目指していただきたいです。

量は質を凌駕します。読者は毎日あなたのブログに読みに来てくれるほど暇ではありません。週一ぐらいで更新しても、目に止めてくれません。毎日更新なら、目にとまる可能性は7倍になります。毎日更新していれば、安心して読みに来てくれるようになります。

森博嗣は『作家の収支』の中でこんな言葉も書き記しています。

小説家は過去の仕事に対して報酬をもらえる職業である。しかも、作家本人が死んでも、本が売れ続ければ遺族に印税が何十年も支払われる。

アフィリエイターも、市場に価値を提供できるサイトを作ることができれば、そのサイトが何年もの期間にわたって報酬をもたらしてくれます。まさに過去の(優れた)仕事に対して報酬をもらえる職業だといえます。

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